「第1話 シにハメられし者・・・K朗道場で稽古を終え、事務所で寝てしまった私が見たものは。」
とりあえず、客観的に事実とあったことだけ書こうと思います。
何はともあれ、石丸さんは突然の訪問者である私ともう一人の方とお話をしてくれたので
それなりに感謝の意を込めて。
ありがとうございます。
またお尋ねするときは正式に郵便で申し込みをさせていただきます。
石丸さん、昨日は突然の訪問に応対していただき、ありがとうございました。
コテハンXさん、お疲れさまです。歩きまくりと電車乗車時間長くてつかれましたね。
今回の訪問は二日前に決まりました。
パーフェクトぷーの私はその有り余る時間を生まれ故郷である福岡を訪問しようとしました。
青春十八切符を使っての旅ですが、さすがに東京→福岡に一気に鈍行でいくのはちょっと
ツライ・・・
まぁ、関西で下車し、K朗法の道場で一休みしていくか。
稽古を終え、道場の事務所で食事をとっていると東京の私の掲示板に書きこみがされています・・・
なぜか私がラバブ道場に行くことに!!
それが事の発端でした・・・・・
「第二話 久留米のセンセイ・・・護身館道場の中で微笑む先生、久留米におりると其処には。」
そして、私は6日の17;04には居合系コテハンX氏と共に護身館前に立つことになります。
護身館はホームページに出ているのとまったく同じなので我々は感動すら覚えました。
が・・・しばらくみていると私とXは奇妙なことに気がつきました。
石丸さんは几帳面で、綺麗好きなのでしょうか?
道場にはウレタンマットが敷いていますがかなり綺麗です。
靴で稽古をすれば黒く後が残り、裸足ならば白い後がつくはずですがなにも後がありません。
壁に掛けたホワイトボードは使った形跡が見当たりません
(これは遠目なので確証はありませんが)
手前にあったバイクのタイヤ・・・いや、バイクそのものも新車そのもののように綺麗です。
タイヤはアスファルトを走った後の傷跡がまったくみえません。
さらにX氏がこう続けます。
「部屋が狭いな・・・・・」
そう、道場がすこし狭いのです。対人稽古ならば恐らく1組がせいぜいでしょう。
それでも歩法をつかって大きく動く稽古は難しく私の目には見えました。
居合をやっているX氏はさらに天上の低さも指摘しました。
これでは武器を振り回して稽古をするのは難しいのでは?
さまざまな疑問が沸いてきます。
しばらく道場を眺めていましたが、「せっかくきたんだから石丸さんにお話だけでもしましょう。
見学などできるといいですね。」コテハンXはいいます。
しかし・・・・・・いざ、石丸さんにお話をさせていただこうと出入り口を探すと・・・・
どこにもみあたりません。
インターホンはあることはあったのですが、ジープに隠れていたため見えず
当初は気がつきませんでした。
私達は途方にくれてしまいました。
「第参話 初めての遭遇(ファーストコンタクト)・・・それは、コテハンXの口からこぼれた言葉。
」
護身館の周りを私達はグルグルまわり、出入り口がどこにあるか探しました。
しかし、どこにも見当たらない。オマケに家には電気がついていません。
電気のメーターは回っているのを確認しましたが・・・
たまりかねたXが窓ガラスを叩きます。
1回。
2回。
何も反応がありません。
そろそろ私もXも疲れてきました。
どちらが先でしょうか・・・・「もう帰ろう」そんな言葉が・・・・
我々は護身館道場から一度、歩き疲れ重くなった足を引きずりながら離れてていきました。
2日かけて東京から久留米にきた結果がこれか・・・・
いや、突然押しかけるだなんて失礼なことやればこれが当然だよな・・・・
そう思いながら歩いているとひとつ、遣り残したことを思い出しました。
「そういえば誰かが隣に理髪店があるから評判やどれくらい門下生がいるか確かめてきてよ。」
と向上?たんがいっていたなぁ。
その言葉を思い出し、理髪店を目指し護身館のほうにもう一度向かうと・・・・
護身館の中に人影が・・・・
石丸さんがそこにはいました。
私とX,石丸さんの視線が絡まります。最初に動いたのは石丸さんでした。
第四話 石丸先生は郵便のみ受け付けする・・・1日前。久留米のある町で、私と石丸センセイは対話をしていた。
」
ガラガラ、と窓ガラスを石丸さんがあけます。
なんてこともない、あの道場のガラスがそのまま出入り口になっていたのです。
ちょっと拍子抜けしながら口を開きます。
「石丸さんですか?」
「はい」
「こちらで護身術を教えていると聞きましたが・・・」
「(たしか、ここの顎に手を当てながら上に目線をやり、考えるような身振りをします。)
う〜ん・・・・護身術というより中国武術をベースに護身に・・・・」
「なるほど・・・」
最初は正直言って緊張しましたが、なんだか思ったよりマトモのような印象を受けます。
(石丸さん、失礼!)
驚きながらもだんだん話しやすくなり、会話を続けていきます。
ひょっとしたら日々、疑問に思ったことにお答えしていただけるかもしれない。
そこで私は思い切った話を切り出します。
「あの、石丸さんは門下生の方は何人ぐらいいらっしゃいますか?」
ところがこの質問になった途端、石丸さんの様子や返答がおかしくなってきます。
「門下生とはどのようなことをいいますか?」
「は?」
気の抜けた返事をしたのは私。
石丸さんは言葉を続けます。
「私には福岡、全国、世界に教えている方がいます。」
自分でも一瞬、凍ったのがわかりました。
横に目をやるとXも凍っていました。
「第五話 まごころ ・・・対話の不明瞭さに苦渋を漏らす私を見て、石丸先生は静かに問いかける」
凍っている二人を前に石丸さんはさらに続けます。
「私は現在、この護身館だけでなく、出張などでも教授をおこなっています。」
そんな馬鹿な・・・・いや、うちの先生も似たことをしているからひょっとして・・・・
いや、とりあえず、今は話を続けよう。
・・・・そういえば、中国武術では本格的な弟子とそれになる以前の学生、
という身分に門下生はわかれていたような・・・
貧弱な知識を手繰りながら質問を若干変えてもう一度やってみます。
「それでは石丸先生には大人数を教えるときに先生のサポートとして教えることができるクラスの
門下生の方がいますか?」
「第六話 シズカナ 道場・・・ 見ることができなかった「徒手」対「ナイフ」組手。」
私はめげずに口をひらきます。
「それでは石丸先生には大人数を教えるときに先生のサポートとして教えることができるクラスの
門下生の方がいますか?」
「そのような込み入った話は郵便でのみ受け付けます。
インターネット上で住所など書いていますのでそれを参考に送ってきてください。」
「いま、目の前に私達がいるのに・・・ですか?」
気がつくとXの口調が少しきつくなっていることに私が気がつきました。
おとなしい良識派コテハンとして有名な彼の声だと気がつくのに少し時間がいりました。
「郵便でのみ受け付けます」
石丸さんは繰り返します。
Xはそれを聞こえたのか聞こえないのか少し強くなった口調で続けます。
「見学・・・・させてくれませんか?」
「郵便でのみ受け付けます。」
石丸さんはまた繰り返しました。
もう終わりにしよう・・・疲れた。私はそう思いました。
それで話を打ち切り、お礼の言葉を告げて、背を向けて私達は駅に向かいます。
わずか10メートルぐらい進むと後にシャッターが閉じる音がします。
振り返るとガラス窓のあった場所に石丸さんがシャッターを下ろしています。
護身館の中は見えなくなり、それが今回の別れとなりました。
〜石○完〜